基本的に合唱団は2重合唱の形で並んでおり、オーケストラはその前に
(分かれないで)位置している。
ソリストは、合唱曲・独唱曲にかかわらず、左右後方の高い位置にある
説教壇(席)から歌う。リュート伴奏を伴う独唱曲では、もちろん奏者
も独唱者の近くで奏するのは言うまでもない。 曲によってソリストの
人数、編成などがさまざまに変わるため、その移動は頻繁になる。
(それは、ソリストがソロ以外の部分では合唱を歌っているからだが。)
それから、例のエコーの部分などではもっと高い位置から歌っているが、
たぶんこれがあのヴェネツィア様式を生み出すきっかけとなったサン・
マルコ大聖堂の独特の構造(祭壇の左右の上方に各々オルガン、聖歌隊、
器楽の席が設けて有る)と呼ばれるところではないかと思う。
(くわしくはヴェスプロのなぞ第3回を参照のこと)
以上が、ガーディナーがモンテヴェルディゆかりのサン・マルコ大聖堂で 行った演奏時の配置だ。これはこれでなかなか考えてある、というものだ。 しかし、もっとおもしろいようにできそうな気がする。 我々の 演奏はどうすべきだろう。 演奏会場の制約ということ、特に今回は初めて という事もあり、なかなか事前に決めておくという事もしにくいところである。
この3つの合唱体を、できるだけ離れて配置したい。
具体的には「地上の合唱」と言われる第2合唱を正面へもってくる。 対して
「天上の合唱(天使の合唱)」と言われる第1合唱を左手上方(後方)に、
ソリストの合唱を右手上方(後方)にそれぞれ配置する。 各々の合唱体に、
それぞれ通奏低音楽器を置くのも、もちろんである。
この曲は、基本的に器楽も合唱をなぞっているだけなので、オーケストラももち
ろん2つに分かれる必要がある。
(ソリストにオーケストラを重ねる必要はないでしょう)
注:後で筆者に尋ねたところ、この“後方”とは客席の後方のことで以上、理想論というか、そんなに根拠の薄弱でない案だと思うが、ぜいたくに 考えさせてもらった。 実際にこういう演奏が聴ければすごいと思う。 おもしろいし、効果抜群なのではないだろうか。
客席を3つの合唱で取り囲みたい、とのこと。図は書き直した。
皆さんももっといろいろ考えてみて下さい。
時は流れて…
“Vespro”の最初の「単独演奏」から2年5ヶ月の後、この "Vespro"のナゾ Vol.7 で源ちゃんが『理想』と言った編成配置が(部分的にですが)実現されることに なったのです。 演奏をする私達は、リハーサルで残響が良く聞こえる状態でだけ その一端を感じることができましたが、歌いながら鳥肌が立つ感触を味わうことが できました。
実際にどんな配置で演奏したのか、 1998年 7月18日の演奏記録資料の 後半の方をご覧下さい。