指揮者からのメッセージ

いよいよ「ヴェスプロ」を京都モンテヴェルディ合唱団で演奏する機会がやっ てきました。
−注　：　１９９６年２月１７日　第１９回定期演奏会です−
前身であった「京都中央混声合唱団」を改称し、「モンテヴェルディ」の名を 冠して新たな歩みを始めた目的は、彼の数々の素晴らしい曲、そしてとりわけ 「ヴェスプロ」と呼ばれている「聖母マリアの夕べの祈り(晩課)…1610年」 の演奏にありました。
私はここ京都で、「モンテヴェルディ」の連続演奏を続けていますが、それは 系統だったアプローチによって一人の作曲家の全貌を顕にする作業です。 そして今日のこの「聖母マリアの夕べの祈り(晩課)」の演奏はその永い計画の 中でも一つの重要なピークとなる演奏会であることを今確信しています。

我が国ではバロック音楽の扉を開いたとされているモンテヴェルディの 音楽は余り紹介される機会はありません。これは甚だ残念なことです。
彼の作品には、豊かなファンタジーと精神を鼓舞する力強さとが共存していま す。そしてそれらは多彩な色調（様々な楽器、独唱、重唱、合唱の形態を駆使） に彩られながら、華麗に、優美に、音の群を飛翔させて見せるのです。 長い音楽史を見渡してもこれほどに才能豊かな作曲家はそういるものではあり ません。

この作曲家がもっと我が国でも評価され、演奏されることを願わないわけ にはいきません。

音楽監督・指揮　当間　修一
第１９回定期演奏会パンフレットの指揮者あいさつより抜粋