| 「丹澤」 | 冬枯れの山道を独り行く。寂寥の中にも明るい景色が広がる。 |
| 「あづまやの」 | 好き者の貴公子の誘いを真に受け屋敷を訪ねた女。すっぽかされ五月雨にしとどに濡れる落胆と怒り。 |
| 「北秋の」 | 道端に咲く小さな白い花。君を思わすその可憐さ床しさ。 |
| 「沙羅」 | 日没前の林の中。露の重みに耐えかねはらりと散る沙羅の花びら。夢幻の如き一瞬。 |
| 「鴉」 | 氷の張った田を不器用に跳ねながら歩く鴉。何処へ行くか、大おそどり。やるまいぞ、やるまいぞ。 |
| 「行々子」 | 耳やかましいヨシキリの鳴き声。思い出す幼い頃の情景とけたたましい鳴き声。 |
| 「占ふと」 | 長からむ心も知らず――黒髪の乱れに心も乱れ――我が戀の行方や如何―― |
| 「ゆめ」 | 明け方の夢に見えた野の果ての広漠たる池。ただ独り眺め居る我の姿は夢なるか真の我が生の姿か。 |