第77回 定期演奏会

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モンテヴェルディ連続演奏シリーズ Vol. 77

 


     
◆ C. モンテヴェルディ  マドリガル集 より
《第3巻》 O primavera おお 春よ 
《第2巻》 Non giacinti o narcisi ヒヤシンスでもスイセンでもないけれど 
《第4巻》  Io mi son giovinetta  私は若い娘 
《第4巻》  Sì, ch'io vorrei morire  本当に 私は死んでしまいたい 
 
◆ - - - - - - - -  イギリスの教会音楽を集めて 
T. タリス   O Nata Lux おお 光より生まれし光 
O. ギボンズ   Hosanna to the Son of David ダビデの子にホザンナ 
C. H. H. パリー  My Soul, There Is a Country わが魂よ、そこには御国がある 
J. タヴナー   The Lamb 仔羊 
J. ラター   Loving Shepherd of Thy Sheep  愛にみちた羊たちの牧者よ 
 
◆ 寺嶋 陸也 ピオニア 
混声合唱とピアノのための 風の芍薬
(詩: 紫野 京子 1. 一本の樹    2. 存在  3. 草叢で
4. 十四日間の蝋燭 5. 幻花  6. 風の芍薬
  〜 ア ン コ ー ル 〜
◆ C. モンテヴェルディ   Cantate Domino, canticum novum 
 




指揮
ピアノ
合唱

: 當間 修一
: 木下 亜子
:京都クラウディオ・モンテヴェルディ合唱団

Flyer; the 76th Concert

【PDF版ファイルは、こちら】( 両面:7.8 MB )


【外部リンク】
《 別館ホール “今昔物語” 》


  • 日時 : 2026年 3月8日(日)
         開演 … 15時00分(開場 … 14時30分)

  • 会場:京都文化博物館 別館ホール
       京都市営地下鉄「烏丸御池」駅から 徒歩 約3分 

- 入場料 -
  《 前売券 》   《 当日券 》 
一般¥2,800 ¥3,000 
学生¥1,800 ¥2,000 
高校生以下¥  800 (前売と同額)




演奏にあたって     音楽監督・常任指揮者 当間修一

 クラウディオ・モンテヴェルディの連続演奏を志して幾年経ちましたか。最近は大作でなく彼のマドリガルを取り上げています。
モンテヴェルディがバロック音楽の作曲法を示していること、そして彼のマドリガル集が音楽史上に煌々と輝く作品であることがその理由。「劇的な表現」がバロックの特徴なのですが、その表現の根底にあるのが「言葉の音楽化」です。
言葉が持つ意味を音画(絵画のように映って見える)として表す、これがルネサンスからバロックへと移った革新的変化です。
モンテヴェルディはオペラの創始者だと言われていますが、それが真実かは論を進めなければなりませんが、オペラを大成功させ、以後続く作曲家を生みだしていった事は間違いありません。オペラの基にはマドリガルがあり、「言葉を音楽化」した事でオペラ作りの基礎が整ったと言えます。
 私の演奏はそのバロック音楽が基礎になっています。

 イギリス音楽は魅力的です。特に我が国では受け入れられる精神的な器はあるように思われます。 リュートの伴奏に歌が切ないメロディーを奏でる。物憂い気分はわが国の気候や文化に似ているように思います。
音楽消費国家であるイギリスは歴史的に見ても「音楽の故郷」です。アイルランドやスコットランドの民謡は多く親しまれています。
「京都 C.モンテヴェルディ合唱団」では余り多くは取り上げてはいませんでしたが、これからは名 曲などご紹介していきたいと思っています。
今日はそのシリーズ第 1 回目とさせて頂きましょうか。気に入って頂ければ良いのですが。

 寺嶋陸也氏の「風の芍薬 (ピオニア)」[詩:紫野京子]はこれまでの合唱曲にはない、不思議な感 覚が全身に流れます。氏の作品を初めてステージにかけたとき、これは大変な作曲家とその作品に出会ったと心底身が引き締まりました。
氏の作品を演奏することには大きな責任が伴うと知りました。歌う者にも、そして聴衆にも作品の魅力を余すことなく伝えなければならない。
 楽譜は一見平易に見えて、歌うととても難しい。音が取りにくい、ハーモニーも聴き慣れない。困惑するのは練習を始めた歌い手たちでしょう。
しかし、練習を進めるごとにその魅力に引き込まれていく彼ら、彼女らです。
現代の若い人たちによく好まれている合唱様式とは一線を画している、だからこその戸惑いなのでしょう。
 寺嶋さんは楽譜の巻頭に書きます。
『現実と幻とが交錯する凝縮された言葉で織り上げられた紫野さんの詩は、そのままにしておきた いと思うと同時に、音にすることでさらにその世界を押し広げて多くの人とこの詩を共有したい、 という誘惑にかられます。歌う人聴く人それぞれの中で、その言葉と音楽とがさまざまに受け取ら れ、はてしなく深まってゆくような曲であることを目指して作曲しました』と。
言い得て妙!実に同感です。
だからこそ、それを強く感じたからこそ、演奏する者として大きな責任を持とうとの意志を固めた のです。
 指揮者としてこのような詩人と作曲家の感性に触れることができる幸せをひしひしと感じます。
作曲の素晴らしさ、詩の素晴らしさ、その幸せな出会いで生まれる音楽の素晴らしさを表現出来る ことを願って、渾身の棒を振りたいと思っています。
今日の「京都 C.モンテヴェルディ合唱団」との演奏、その世界に近づけることが出来ればどれ程の 喜びでしょう。

演奏会にお出で頂き、ありがとうございます。心より感謝申しあげます。
そのものが彼らの表情、演奏に表れますよう真摯に向き合う所存です。
[作品解説は合唱団員が書いてくれました。参考にしていただければと思います。]


曲紹介

◆ C. モンテヴェルディ   マドリガル集 より
・(第3巻)  O Primavera    −おお 春よ
今回マドリガルは、春らしい歓びに満ちた歌で始まります。 一年がひと巡りしてやって来た春。 花咲き若葉萌え、愛の生まれる春。 でも私は、かつて人々に愛された私ではない、と少し憂い顔ですが、曲は春の明るさに満ちて、軽快に進みます。
・(第2巻)  Non giacinti o narcisi  −ヒヤシンスでもスイセンでもないけれど
題名に出てくるヒヤシンスもスイセンも、ギリシア神話中随一の伝説の美少年の化身。 そこまでとは言わ ないけれど、僕らだって輝けるはずさ。 ああ、あなたの太陽のような眼差しが僕らに注がれさえすればだ けどね…。 憧れの女性に焦がれる、野辺の花のような愛らしい曲です。
・(第4巻)  Io mi son giovinetta   −私は若い娘
おっと突然ミュージカルが開幕。 「私は若い少女よ〜この新しい季節に笑い歌うのよ〜♪」と羊飼い娘が 登場。 すると羊飼い少年が「僕も若者さ〜愛の季節に笑い歌うよ〜♪」と応えて登場。 これは恋の始ま りだ!と思いきや…え〜っ!? 意外な結末は歌でお確かめください。
・(第4巻)  Si, ch'io vorrei morire  −本当に 私は死んでしまいたい
愛する人と結ばれたことで、もう死んでしまいたいと、幸福の絶頂の男性。 歌詞は赤面するほどストレート。 息が止まるほど抱きしめ合い、白い胸に顔を埋め、それからそれから…お子様禁止のドキドキな歌詞を、 軋み、絡み合い、高まってゆく旋律が盛り上げながらクライマックスへ。 団員にも人気の、超濃厚系マドリ ガルをお楽しみください。
(テノール 笹川 馨)
 

◆ イギリスの教会音楽を集めて
16世紀にローマ教会から分離独立して英国王を首長とするイギリス国教会が誕生し、英語による独自の教会音楽が育まれてきました。 島国イギリスの風土を反映した、どこか懐かしく親しみやすい曲が多く残されています。
・ T. タリス (c.1505〜1585)  O Nata Lux    −おお 光より生まれし光
カトリックとプロテスタントが対立する時代に書かれた作品であり、ラテン語のテキストが用いられています。 世を救うため犠牲となったイエスへの感謝が、静かな曲調の中にも熱く歌われます。
・ O. ギボンズ (1583〜1625)  Hosanna to the Son of David  −ダビデの子にホザンナ
マタイ福音書に記された、イエスがエルサレムに入城した際に群衆が叫んだ言葉がテキストで、流麗なポリフォニー(多声) による生き生きとした曲です。作曲者のギボンズは世俗曲であるマドリガルも数多く作曲しています。
・ C.H.H.パリー (1848〜1918)  My Soul, There Is a Country  −わが魂よ、そこには御国がある
6曲からなる 「Songs of Farewell」 の1曲目。戦争の暴力から逃れ天にいる平和の君=イエスに救いを求める詩に作曲されており、本曲は 2022年のエリザベス女王の葬儀の際にも演奏されました。
ドイツ・ロマン派の影響を受けつつ英国らしい詩的な情感溢れる作品です。
・ J. タヴナー (1944〜2013)  The Lamb      −仔羊
タヴナーは 20世紀後半に活躍した神秘主義の作曲家です。 仔羊は人類の身代わりとなって生贄として捧げられたイエスの象徴。神の祝福を願う子供と仔羊の無垢な会話がシンプルなメロディで紡がれます。
・ J. ラター  (1945〜  ) Loving Shepherd of Thy Sheep −愛にみちた羊たちの牧者よ
日本でも人気の作曲家であるラターは、1983年にプロ室内合唱団であるケンブリッジ・シンガーズを結成し、多くの作編曲のレコーディングを行なっています。 19世紀の讃美歌作家 リーソンの詩に作曲された本作は、羊飼いが羊を導くようにイエスに守られ歩んでいきたいという真摯な願いが込められています。
(ソプラノ 和佐谷 宏子)
 

◆ 寺嶋 陸也  混声合唱とピアノのための 風の芍薬(ピオニア)
紫野京子氏の詩集『風の芍薬 (ピオニア)』の中の 6 編の詩に寺嶋陸也氏が作曲された作品です。
この組曲は、曲集のタイトルにもある通り、初めから最後までずっと、風の吹いている情景とともに描かれます。曲によって、〈風〉そのものの描写もあれば、何かが〈揺れる〉ことによってその存在を感じさせるものがあります。
私たちが人生を生きる中で向き合わざるを得ない様々な葛藤、苦悩、挫折、夢、そして大切な人の死。抽象的かつ多義的な言葉の表現と、幻想的な音楽から受け取るものは、歌う人にとっても聴く人にとっても様々で、歌うほどに、聴くほどに、果てしなく深まっていくような、そんな感覚があります。
鮮やかな情景描写も聴きどころです。硬く小さな蕾が、次第に花開いてゆき、最後には大きな芍薬の花となって溢れていく。ピアノとの相乗効果で、豊かな情景が鮮明に浮かぶような演奏を目指したいと思います。
(ソプラノ 中川 りお)