演奏会とは、演奏する者にとっても、聴いてくださる方々にとっても、嬉しいこと、素敵な曲との出会いであると思っています。
往年のものであっても、新作であっても、心を打つ作品ならば新たな感動の日となるに違いありません。
最近、作品の見直しの時期に来たのではないかと私自身の足跡を感じます。心に残っている作品だが、取り上げてこられなかった作品の再発掘です。
邦人作品、その一つに新実徳英氏の作品があります。私が活動を始めた頃には氏の作品への愛着がありながらも、その後取り上げる機会がなく今に至っています。氏とお会いしたときには「演奏したいと思っているのですが・・・・、また取り上げますね」との挨拶ばかり。
気がつけば氏の作品は常に横に置かれ、木下牧子、千原英喜、西村朗(残念なことに2023年9月7日、69歳で逝かれました)、寺嶋陸也氏らの作品を軸にしながら中堅から新人の作品が並びます。
今回は氏との約束を果たす意味もあって、「花に寄せて」を聴いていただこうと思います。氏の抒情性がいかんなく発揮されている佳作です。(別演奏会には有名な「幼年連祷」を演奏します)
さて、今回紹介したい邦人曲は寺嶋陸也氏の「花筺(はながたみ) 」、佳い曲です!
氏の独自の世界、それはシンプルな形(でも決して容易ではない!)。新鮮で、美しく、深く新たな世界へと導いてくれます。練習を重ねるごとにその魅力に取り憑かれる、これ私の本音です。
クラウディオ・モンテヴェルディの作品の連続演奏も続きます。今回は現在出版されていて入手し易い「4つのモテット」。これまでにもピースとして演奏してきましたが、4つ並んでの演奏は希です。
クラウディオ・モンテヴェルディの新旧作風の流れが見えます。大曲の間(はざま) にあって存在感のある渋く輝きを放っている、といえましょう。
「京都クラウディオ・モンテヴェルディ合唱団」が取り組んできた大曲での連続演奏中、このような曲を演奏できることに大きな喜びを感じます。
新しい世界、心を包むことのできるコンサートになればと願っています。
今日のご来場、心からお礼を申しあげます。