第 71 回 定期演奏会

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モンテヴェルディ連続演奏シリーズ Vol. 71

 


◆  T. タリス エレミア哀歌 The Lamentations of Jeremiah 
  
  ◆ C. モンテヴェルディ アリアンナの嘆き  Lamento d'Arianna
  
 ◆ 木下 牧子( 詩: 荒井 良二) 混声合唱とピアノ連弾のための たいようオルガン
 
  〜 ア ン コ ー ル 〜
 ● 木下 牧子( 詩: 谷川 俊太郎)   そのひとがうたうとき 
 ● C. モンテヴェルディ    Cantate Domino, canticum novum 
 




指揮
ピアノ
合唱

: 当間 修一
: 木下 亜子・沖田 明子
:京都クラウディオ・モンテヴェルディ合唱団

Flyer; the 71st Concert PDF版ファイルは、こちら( 666 KB)


  • 日時:2023年 3月19日(日)
       開演… 15時(開場 … 14時30分)

     

  • 会 場:京都堀川音楽高等学校 音楽ホール
     京都市営地下鉄「二条城前」駅より 徒歩 約5分 

- 入場料 -
  《 前売券 》   《 当日券 》 
一般¥2,800 ¥3,000 
学生¥1,800 ¥2,000 
高校生以下¥  800 (前売と同額)


【 会 場 案 内 図 】
access map

・地下鉄東西線「二条城前」駅より 徒歩 5分
・地下鉄烏丸線「烏丸御池」駅より 徒歩 9分
・京都市バス 「堀川御池」バス停 すぐ  〈 9, 12, 101系統 など〉
・阪急電車京都線「大宮」 駅より 徒歩16分





  演奏にあたって   音楽監督・常任指揮者 当間修一   


 人間って複雑ですね。それを識りたくて生きているみたいです。苦しさや悩ましさ、お腹を抱えて大笑い、これ以上涙が溢れて枯渇するのではと思ってしまう大泣き。人知れず泣いてしまう。
 こんなにも感情を持っている人間。どれもが真の姿です。
 最近は特に感情が高ぶることが多い私。世の中こんなに価値観が異なってしまうと誰が想像したでしょう。そこかしこ何処を振り向いても「疑問」だらけ。国政も医療も、経済も。
 音楽だけは真の姿を表したいとの思いがどんどん強くなっていきます。音楽だけは、その感動は裏切らないと思うからです。
 男と女の仲は闇ですね。でもだからこそドラマが生まれ、生の感情が渦巻く。人はそれを感じて自分の生き方を確認し、学ぶ。
 人と人とが闘う。死を持って闘う。その愚行に心痛み、平和の難しさを痛感する。

C.モンテヴェルディ「アリアンナの嘆き」は正にこのテーマ。置き去りにされた女が自分を捨てて去っていく男に悪態と愛を叫ぶ。音楽史の新しい扉を開いたクラウディオ・モンテヴェルディがその作曲法を駆使してドラマ性を表出する。それはその時代のセンセーショナルな事としてあっという間に各国にその音楽が伝わった。名曲が生まれた背景です。
 続くT・タリス「エレミヤの哀歌」は祖国を破壊され、地を追われ奪われた民族が敵の地へと捕虜と成った人々の嘆き。人々は祖国への「帰り」を待ち望む。想像すれば、捕虜にあってはそれはありとあらゆる全ての残酷なシーンが浮かび上がる。女も男も人としてではなく勝ち誇った者の快楽、権力の誇示として扱われる。 これは現在でも起こっている事。歴史にはその残酷なシーンは残らないが(全ての歴史は強者が残すものだから)、身近を見渡せば今もあり続ける歴史の真っ只中。
 前半の二曲、私にとっては「私自身の現実」でもある。そう実感する。
 愛する幸福とは?人が人を愛するとは如何に多くの深い淵を渡らなくてはならないか。
 奴隷と成った人々が奪われる「生きるという権利」。それに加わって祖国を失う絶望感。我が国では味わうことのなかった歴史です。だからこそ、その憂いを想像したい。祈りたい!その思い「哀しみ」を歌いたい!

後半の「たいようオルガン」は打って変わって「明るく、色彩的、小気味よさ、生きることを鼓舞させる世界観」。
 改めて芸術を生む人間賛歌に心は弾む。絵本の原作者も、それを基に音楽に置き換えた作曲家。
 人間って何て素晴らしい!かを示している。この曲は私が作曲家に直に書いてほしいと願った委嘱作品。
 今回はその後にピアノ連弾版として多くの合唱愛好家に歌い、聴いてほしいとの編曲版(原曲はオーケストラとの共演)を使用します。
 人間の全てではないけれど、その大事な感情の一部を演奏することに喜びを感じています。
 前半と後半とのそのギャップがまた人間の姿。
 楽しんで頂ければ幸いです。

(なお実際の演奏曲順は、前半「エレミヤの哀歌」、「アリアンナの嘆き」の順となります。)


 曲 紹 介

T. タリス    「エレミヤ哀歌」 The Lamentations of Jeremiah
 「エレミヤ哀歌」は旧約聖書中の一書で、預言者エレミヤが著したと伝えられてきました。
 紀元前600年ごろバビロニアがエルサレムに侵攻し、ユダの民はみな虜となりバビロンへと移住を強いられました。
 諸民族が集う祈りの場と言われたエルサレムの町も神殿とともに破壊され、人も住まぬ場所となってしまいました。
 痛みと嘆きに満ちた哀しみの歌は、今もなお戦乱熄まぬこの世界に生きる私たちの歌でもあります。
 様々な芸術家が「哀歌」に心を寄せ音楽を附してきました。
 本日お届けするのは、16世紀イングランド王室に仕えたトマス・タリスの5声部の合唱(アルト2声版)です。
 各パートが精緻に模倣を重ねる伝統的な型式でありながら、随所に大胆な転調を含み、静かな哀しみは熱い祈りへと高まっていきます。
 各章の初めにはヘブライ語のアルファベットが置かれ、それぞれの異なるハーモニーが場面転換をもたらすのも聴きどころです。
(テノール 笹川 馨)

C. モンテヴェルディ 「アリアンナの嘆き」 Lamento d'Arianna
 モンテヴェルディ連続演奏シリーズ、今回はマドリガーレ集6巻より「アリアンナの嘆き」を演奏いたします。
 モンテヴェルディのオペラ「アリアンナ」より、テゼオに見捨てられたアリアンナが歌うアリアを、モンテヴェルディ自ら5声曲に編曲したマドリガーレです。
 1610年頃に作曲されたとされ、当時大流行したアリアが多声曲となる事には批判もあったと言われていますが、アカペラ5声となる事でより表現の幅が広がったとも言われています。
 嘆きと怒りのはざまで揺れ動く様がそのまま音となっていきます。ゆっくり大きく、銃弾のように速く、時に静かに。言葉と感情と音楽が結びついて表現されるモンテヴェルディ屈指の名曲です。
(ベース 竹内 幹)

木下 牧子  「たいようオルガン」
 2010年大阪コレギウム・ムジクム創立35周年を記念して委嘱された作品。委嘱の際、当間先生から木下先生に「混声合唱と2管編成のオーケストラの作品を是非」とお話されていた事が記憶にあります。
 荒井良二さんの絵本「たいようオルガン」のパワフルで鮮やかな色の世界が金管楽器・パーカッションを多用した、華やかでエネルギッシュな音の世界になりました。
 今回演奏するのは、オーケストラ版からピアノ4手に編曲されたもの(2013年 立命館大学混声合唱団メディックス委嘱初演)です。
 ぞうバスに乗って、街や田舎を巡る一日。のったり、おりたりしながら、ご一緒にお楽しみ頂けましたら幸いです。
(アルト 小野 容子)



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