第68回 定期演奏会

Logo : 関西から文化力

文化庁
関西元気
文化圏

参加事業

  モンテヴェルディ連続演奏シリーズ Vol. 68

 


  ◆ C. モンテヴェルディ マ ド リ ガ ル 集 よ り  
 《第1巻 より  Se pur non mi consenti  たとえあなたが私に許さないとしても
 《第2巻 より  Tutte le bocche belle  あらゆる美しい唇に
 《第3巻 より  Lumi miei cari lumi  わが瞳、愛しの瞳
 《第4巻 より  Cor mio non mori? e mori!   わが心よ、死んではいないのか? ならば死ぬがよい! 
 
 
 ◆ 上 田 真 樹   混 声 合 唱 組 曲『終わりのない歌』
( 詩:銀色 夏生) T. 光よ そして緑 / U. 月の夜 / V. 強い感情が僕を襲った
W. 終わりのない歌 / X. 君のそばで会おう 
 
 
 ◆ 千 原 英 喜  混声合唱のための『どちりなきりしたん』
    T / U / V / W / X エピローグ: アヴェ・ヴェルム・コルプス
 
  〜 ア ン コ ー ル 〜
 ◆ 上 田 真 樹
◆ 千 原 英 喜
◆ C. モンテヴェルディ
 
-「あなたのことを」
- 「みやこわすれ」
- Cantate Domino, canticum novum 
 


  • 指 揮 : 当 間 修 一
  • ピアノ : 木 下 亜 子
  • 合 唱 :京都クラウディオ・モンテヴェルディ合唱団

  • 日 時: 2021年 10月24日(日)
        開演… 15時(開場 … 14時30分)

  • 会 場:京都堀川音楽高等学校 音楽ホール
     京都市営地下鉄「二条城前」駅より 徒歩 約5分 
    ( 下記掲載の案内図をご参照ください。)

  • 入場料:
      《 前 売 券 》   《 当 日 券 》 
    一 般¥2,800 ¥3,000 
    学 生¥1,800 ¥2,000 
    高校生以下¥  800 (前売と同額)

Flyer; the 68th Concert
拡大画像をご覧いただけます
( PDF , 1.1 MB )


【 会 場 案 内 図 】
access map

・地下鉄東西線「二条城前」駅より 徒歩 5分
・地下鉄烏丸線「烏丸御池」駅より 徒歩 9分
・京都市バス 「堀川御池」バス停 すぐ  〈 9, 12, 101系統 など〉
・阪急電車京都線「大宮」 駅より 徒歩16分





演奏にあたって   音楽監督・常任指揮者 当 間 修 一 

 曲 紹 介

 まだまだ続いている「コロナ禍」。その中にあって、合唱活動に於ける大切な事が幾つかあります。その中で最も大切なのは合唱技巧の課題ではなく、実は練習場です!
合唱団員が集まり、指導者に恵まれ、熱心に練習開始だと計画しても〈その場所〉がなければ、その音環境がなければ何も始まりません。
また見つかったとしても、練習場として常に使用できるかどうかということが音楽の〈質〉を決めます。毎回異なった場所となれば、その場を予約しなければなりません。その役を担う人が必要ですし、その負担、苦労は大変なものでしょう。
 また練習場としての大切な要素は、その空間の広さと響きの質です。その条件が良いものであれば、先ず間違いなくその団は成長します。一定の練習場所と合唱に必要な環境空間。これに勝る条件はない、と私は思っています。
理想を語れば「アクセスが良い練習場でいつも使用できる。その場は広さも響きの質も残響の長さも十分。そして何度か演奏会を行うホールでリハーサルができる」。現在では叶うべくもない夢のような条件ですね。今までにこれらを理想として活動を続けていたとしても、この「コロナ禍」がそれらを木っ端微塵に、ずたずたに打ち砕きました。
活動ができなくなり、場所が閉鎖され、団員も揃わず、声を出すことも合わせることも出来なくなった。これほどに人間性の誇りである行動の自由を制限されたことは近年有りませんでした。
「京都C・モンテヴェルディ合唱団」も困り果てたのは例外ではありません。
しかし、活動が途切れたのは短い期間であり、団員は勇敢にもそれを維持すること、継続を選択しました。その未来へと繋がる行動に敬意を改めて表したいです。

 今回の選曲、如何でしょう?
モンテヴェルディの全曲演奏の一環とする「マドリガル集」はこれまでの演奏の穴を埋めるように選曲を進めて来ました。前をみればまだまだ遠い道ではありますが、滞ることなくこれからも全曲演奏へと歩みを進めていく所存です。
今回も、プログラム全曲にわたって、言葉にこだわっての演奏です。イタリア語も日本語も、作曲家の思いを、そしてそれらの「音画」を如何に表現するか、その課題への取り組みです。
また作曲家によるそれぞれの様式を楽しんで頂ければと思います。「人間を感じる」演奏が望みです。音響を通じて、メンバーの身体を通じて伝われば、と願っています。
初めての「京都堀川音楽高等学校 音楽ホール」。相性が合いますようにと、こちらから近づいていきたいですね。
〔解説〕は短いながら合唱団員が書いています。参考にして頂ければ幸いです。

C. モンテヴェルディ 「マドリガル集」より
音楽の様式に大きな変革をもたらしたモンテヴェルディ。伝統的なルネサンス音楽から、劇的要素を取り入れた新しい様式のバロック音楽への移り変わりを生前に出版された8巻のマドリガーレ集に見て取ることができます。今回は、まさにその移り変わりの兆しが見え始めた1巻から4巻より各1曲ずつを選んで演奏いたします。それぞれ短い曲ではありますが、巻を追うにつれ模索し進化していくモンテヴェルディの変遷の足跡を感じていただければ幸いです。
Se pur non mi consenti  -たとえあなたが私に許さないとしても-(第1巻より)
ルネサンス音楽の様式が色濃く残った1巻より。伝統的な様式に則りながらも、つれなくされても諦めきれない思いを紡いだ詩が音となり表現されています。
Tutte le bocche belle   -美しい唇すべてに-(第2巻より)
まだ当時主流だった伝統的な様式と革新的な様式とが混在している2巻より。詩は連作の一部から引用されています。美しい女性に思いを募らせ揺れ動く男の気持ちが、軽快なフレーズと斬新なリズムで描かれています。
Lumi miei, cari lumi    -わが瞳 愛しの瞳-(第3巻より)
モンテヴェルディの新しい試みがさらに顕著になっていく3巻より。音楽史に対しても後世にわたり多大な影響を与えた グァリーニ(1538-1612)の詩による恋の歌です。女声3声の速いパッセージの掛け合いが印象的で、移り気な女性と一途な男性の様が音楽そのものによって見事に表されています。
Cor mio, non mori? e mori! -わが心よ、死んではいないのか..? ならば死ぬがよい!-(第4巻より)
バロック音楽への新しい幕明けを感じさせる4巻より。詩の情感を音で表現しようとした新しい音楽の考え方が如実に反映されています。失恋の苦しみを不協和音で表し、ぶつかり合う響きによってその情念を醸し出しています。
(ソプラノ 葛葉英子)

上田 真樹 「終わりのない歌」
銀色夏生さんの詩には、どこか中性的な、爽やかで透明な響きがある。しかし、こうしてストーリー性を与えてみると、青春時代の爽やかな恋ともとれるが、少しアブナイ方向に前向きに進んでいく青年の歌ともとれる。(全音楽譜-刊: 「はじめに」より引用)
「終わりのない歌」は、元々は男声合唱組曲でした。上田真樹氏自身、このオトコクサイ組曲を混声にすることに躊躇(ためら)いがあったようですが、いざ歌ってみると男声と女声の絡み合いが巧みに作られており、ハーモニーが実に美しく、すんなりと受け入れられます。
男声による「僕」やその想いの表現はかなり印象的であり、見せ所でもあります。
高校生達が青春を謳歌する学校。このホールでの演奏会で、この組曲を歌うことも運命的な何かを感じさせます。 耳に馴染むメロディーの中にある青年の想いを伝えられるよう、演奏します。
(テノール 梶本 博)

千原 英喜 「どちりなきりしたん」
「どちりなきりしたん」は、戦国時代から江戸初期、キリスト教伝来から禁教に至るまでの間に使われていたキリシタン書や聖歌や当時の俗謡をテキストにして、架空のキリシタン信仰世界を描いた合唱曲です。
第一曲
テキストは日本人修道士 不干斎ハビアンによって書かれた『妙貞問答』より取られています。『妙貞問答』は最初の日本人の手によるキリシタン書。日本が生んだキリスト教の教えが言葉を大切に歌い紡がれます。 曲の最後には『サカラメンタ提要』より “Veni creator Spiritus” が歌われます。(『サカラメンタ提要』は、日本に向けた布教のための儀式書でグレゴリオ聖歌も所収されているキリシタン書。)
第二曲
南蛮文化を思わせる歌謡・俗謡をテキストとしています。メロディー自体は作曲家によるもの。 曲の最後には『サカラメンタ提要』より “Tantum ergo” が歌われます。 流行の俗謡も聖歌も同じように歌われていた当時を夢想させられます。
第三曲
キリシタン書『どちりなきりしたん』とミサ通常文より Kyrie, Gloria をテキストとしています。 師と弟子による問答体による掛け合いとミサ通常文が同じ曲内で歌われる様は、キリシタン時代の信仰・文化の盛り上がりそのもののようです。
第四曲
テキストはキリシタン書『こんてむつすむん地』より、原書は現在でも読まれているイエズス会による『イミタティオ・クリスティ』(キリストの模倣)。 禁教迫る中に書かれたこの書は、キリストに倣って殉教する心得を伝えるために広まったものとも言われています。 第二曲と同じく終盤には “Tantum ergo” が歌われます。神の栄光を讃える最後は、華やかなキリシタン時代の信仰の隆盛を思わせます。
第五曲
聖歌 “Ave Verum Corpus”。 日本キリシタンの苦難とキリストの受難を重ね合わせているのでしょうか。レクイエムのようにも思えます。 かつての隆盛とその後の苦難に思いを馳せつつ曲は閉じられます。
(ベース 竹内 幹)



…元のページへは、Web Browser の [Back]ボタン等の機能でお戻りください。…