ハーモニーの美しさだけではなく人間の心模様の表現を目指して合唱作りをおこなってきました。
人間臭さと透明で純粋な響きとは相容れない要素かもしれないのですが、それでも
人間の理想を追い求めたいとの願いが強いアプローチかも知れませ ん。
「本質」を探りたい、求めながら未来を探りたい、これが私の《本質》です。
第一ステージで演奏するモンテヴェルディのマドリガルは正直演奏するのも鑑賞するのも難しい。
彼が表現しようとした新しい音楽スタイル(劇的ハーモニー)を
イタリア語の中で体感しつつ、恋の駆け引きや愛の謳歌を歌い味わう。それも1600 年代の歴史に遡っての感覚で。
しかし、歌うほどに日本人の心とも通い始める共通な感覚もあるとの確信です。
モンテヴェルディの大胆さと敬虔で慎ましやかな精神はとても魅力的。 これは
我々日本人にも解る!というわけです。
第二ステージのウィリアム・バード。私は常にイギリス演奏様式に惹かれていることを
告白しなければなりません。
ドイツ音楽を基に培ってきた音楽観 ではありますが、演奏の仕方、特に
合唱や声楽アンサンブルにおける演奏に聞き耳を立てます。
今回選んだ「5声のミサ曲」もこよなく愛する曲です。 静けさの中に
宗教的情熱が迸ります。
特に最終楽章のアニュス・デイの深い想いは、私の心と共振する
親しい寄り添い音楽として大切にしたいと思う曲 です。