ようこそ第46回定期演奏会にお出で下さいました。心から感謝申しあげます。
京都にあってこの合唱団の活動も長きに渡ってきました。新しい作品を摸索しながらも
モンテヴェルディを始めとする合唱の名作にも光を当ててきたと自負しています。
今日は最新の作品との取り組みではなく、じっくりと取り組んでみたい
往年の名作を取り上げました。皆様に喜んで頂ければ幸いです。少し、その取り組みの
私の思いを綴ってみました。参考にしていただければと思います。
■モンテヴェルディ連続演奏シリーズVol.46 マドリガーレ集 第4巻より
マドリガーレは難しい。歌うのは勿論なのですが、その内容においても
一筋縄ではいかぬもの。先ず歌うことに対しては Alt のパートがその対象。女声では
音域が今日では合いにくい。つまり低すぎることが多いのです。男声を使いたいのですが
その選択もままなりません。そしてその内容であるテキストがまたやっかい。イタリアです!
恋のさや当て。譬喩に富み、決して深刻な内容ではありません。表現はオーバーなのですが。
その表現をどうするか?モンテヴェルディの少し暗めの音使いもあって
なかなか現代では表現し辛い音の並びです。でもやはりこれを取り上げるのは
声にとってその多彩な表現を学ぶためにはとても大切で、また面白いのも事実です。これからも
連続演奏として取り上げていくつもりです。「京都C・モンテヴェルディ合唱団」の中核の一つです。
■ G. P. da パレストリーナ 「Stabat mater dolorosa」(悲しみの聖母)
整然とした作りに繊細な音の彩りがある。パレストリーナは歌い手によって
随分表情を変えるものです。教科書的な演奏もあれば、慎ましやかさの中にあって
深い情熱も湛えることもできます。「悲しみの聖母」は二重合唱(八声)。歌い交わしながら
十字架の前で泣き悲しみにくれるイエスの母。その苦悶を私たちにも味わわせて下さい
との祈りを綴ります。
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イエスの愛、そして母マリアの愛。それは私たちを天国へと導く
救いの愛だと祈りを捧げます。美しさが溢れる名曲だと思います。
■木下牧子:混声合唱組曲「にじ色の魚」より 「にじ色の魚 / 湖上 / あお」
牧子さん、アンコール・ピースを集めた曲集がこの「にじ色の魚」。珠玉の曲が
並びます。そのなかでも今日取り上げる曲はシンプルな中にあって
奥行きのある内容となっています。多く演奏されることを待っている曲達です。
今日の演奏、実は一番喜び、待っていたのは私かもしれません。メンバーと共に
「牧子世界」を堪能したいと思っています。皆さんも気に入って頂ければいいのですが。
■高田三郎:混声合唱組曲「心の四季」
高田三郎の作品を取り上げたいと以前から強く思っていました。それは
日本語の美しさにあります。
決して目新しい音やハーモニーは無いのですが、その綴られた音による日本語は、深い情緒を伴って
私の心に迫ってきます。美しい日本語の世界が独特のリリシズムをもって立ち上がります。
「心の四季」はまさにその代表的な作品でしょう。静かさの中にきめ細やかな感情が揺らぎます。
これからもプログラムに取り上げたいと思う「高田三郎の世界」です。
■荻久保和明:混声合唱曲「季節へのまなざし」
荻久保和明氏の作品を多く取り上げてきた一人としていうのですが、この才能の輝きに
目が眩むことがあります。私は氏の作品に魅了されます。リズムの面白さは勿論です。そして
そのリズムの上に流れるハーモニーは深い内容を含み、純真かつ素朴ながら
力強さと抒情性を持ってたまらなく音楽に満ちあふれています。
1978年(昭和53年)の芸術祭参加作品として作曲されたもの。しかし、すでに
33年が経っているのですが、けっして色あせてはいない作品だと思います。
「京都C・モンテヴェルディ合唱団」がどのようにこれを表現するか。私が一番
ワクワクしているのかもしれません。
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