"Vespro" のナゾ Vol.1


どういう曲もこういう曲も、聴いてみれば「あ、こりゃすごい」ということ はわかると思うのだが、そう言ってしまうと身も蓋もないので、私の取るに 足らない脳細胞を駆使して、1年間書いてみようかと思っている。

でもやはり、とりあえず一度お聴き下さいと、言っておきましょう。

昔、NHK-FMに「バロック音楽の楽しみ」と言う名物番組があった。普段バロック 音楽など流れない当時にあっては、ほとんど唯一の情報源でもあった。レコード を買う余裕もない我々には、じつにありがたい番組だった。この番組でヴェス プロを初めて聴いたという人も多い。そして、ヴェスプロを聴いてバロック 音楽をやろうと決心した人も。

だが実は私はそれではなくて、私が初めて聴いたきっかけは「レコード芸術」 の新譜評ではなしに、柴田南雄氏の記事だったと思う。確か高校入学?のお祝い に何か買ってやるといわれて、その記事に挙がっていた何枚かをリストアップ したと記憶している。と書いてきて思い出した。指揮者のミシェル・コルボに ついて(注:…の雑誌記事)だった。だから、ヴェスプロやフォーレのレクイエム もあったとおもう。父親が注文したレコード屋に「変わったもん聞きはります にゃな」と言われた、というのを覚えている。当時はだから、今で言う 「コルボの旧版」がほとんど唯一のレコードだっただろう。そのうち、 「ユルゲンス盤」「デヴィッド・マンロウ盤」「コルボの新盤」などがあらわ れた。そのどれもが「レコード芸術」誌で「推薦」をとったものだから「皆川 先生もこの曲には甘いなぁ」などとは思わずに、「すごい曲やなぁ」と改めて 思ったものだった。現在では「ガーディナー盤」「パロット盤」などが加わって いる。(すでに古いですか)

現在のCDの状況を良く知らないので、最新のことは皆さんのほうがよくご存じ だと思う。例のイタリアの古楽団体「コンチェルト」も、この曲をリリースした のだろうか。あ、それから、ガーディナーがサンマルコ大聖堂で演奏したLDは 目で見られ、ガーディナーの解説つきというありがたいものです。また、もしそう いうのが見当たらなければ、とりあえず我々が昔演奏したものを聴いておくとか。 (注:団員の予備勉強用に…ということです。)ご希望の方は、テープ係りまで お申し越し下さいませ。


"Vespro"のナゾ Vol.2 へ続く

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